バイオ試料の解析

 

バイオ医薬品における凝集タンパク質のナノ粒子分析

タンパク質凝集体の早期発見

FDA規制では、有効性や安全性においてタンパク質治療薬の粒子の特性と量の評価を推奨しており、凝集体の早期発見が求められます。凝集が進む1μm以下の粒子を評価することで、凝集体を早期発見することができます。これにより多くの製剤をテストする時間を短縮でき、市場化への効率を上げることが可能です。

サブミクロンのタンパク質の粒子径測定と定量ができるナノ粒子径・濃度測定装置を使い、ストレス時間を変えた製剤を、希釈や添加剤を加えることなく分析しました。
結果、この製剤では、ストレスの増加が多くの凝集体を引き起こすことが明らかになりました。加えて、150~250nmの粒子径範囲を調べることで、凝集をより早く検出できることがわかりました。

使用装置: nCS1 nano particle counter

  • ナノ粒子をカウントできる。個数濃度が測定できる
nCS1_400

 

タンパク質の安定性とタンパク質溶液の物性の最適化

タンパク質の熱変性や凝集を非接触、非破壊で評価

タンパク質は生化学や製薬の分野で広く利用されていますが、熱に弱く変性することが知られています。また、特定の条件で構造状態の変化が起こるため、タンパク質溶液の特性を把握することが基礎研究において重要となります。ここではタンパク質の液中での構造変化を妨げることなく経時的に評価を行うことが出来る非接触、非破壊の評価が求められます。光散乱の原理を応用した分散の安定性評価法を用い、タンパク質溶液の状態変化を非破壊で捉えました。

グラフはBSAタンパク溶液にタンパク質の安定性に寄与するヒスチジンを添加し、60℃で経時的に状態変化を追ったものです。

登録して全ての事例を読む


バイオポリマーのゲル化点の正確な評価

バイオポリマーのゲル化は温度変化に対して起こり、また、塩濃度によって影響を受けることが知られています。しかし、回転式レオメータなどを使うゲル化評価では弱いゲルの構造が壊れてしまうため、正確なゲル化点評価が行えないという問題点がありました。マイクロレオロジーを使ったゲル化評価で、ゼロせん断の条件で温度変化や時間に対してレオロジー特性の変化を測定することができます。

1%カラギーナン溶液に0-80mMの濃度になるように塩化カルシウムを加え、ゲル化評価をしました。
グラフは塩濃度ごとのゲル化温度の変化を示しています。塩濃度が高いほど、高温でもゲル化しやすい状況にあることがわかりました。

使用装置: Rheolaser Master

  • ゼロせん断条件でのゲル化評価

 

Rheolaser master 400
バイオ試料の解析-Rheolasr400

 

診断薬のための高分解能な粒子径分布測定

ポリスチレン粒子の凝集、均一性、サイズ別含有を正確に判別

診断薬の感度や正確性、再現性向上には、原料であるポリスチレン粒子の粒子径分布を正確に知ることが重要です。

体外診断薬は、抗体などのタンパク質をポリスチレンラテックスなどの粒子の表面に吸着させ、被検体と反応させます。抗原抗体反応が起こるとポリスチレン粒子の凝集が起こるため、凝集の有無で陰性または陽性を判定することができます。原料であるポリスチレン粒子の凝集の有無、均一性(単分散度)の把握、サイズの異なる粒子含量の測定が求められます。

サイズの異なる2種類のポリスチレン粒子(粒子径差約35%)を混合し、粒子径分布を測定しました。

登録して全ての事例を読む

 

薬効成分の濃度測定・治療製剤利用が注目される細胞外小胞の定量化

無細胞ヒト血清由来の細胞外小胞(EV)の大きさと濃度測定の妥当性を確認

エクソソームを含む細胞外小胞(EV)を利用した治療用製剤の開発が進んでいます。EVの正確な定量化は、その効力を評価する上で欠かせません。EV 製剤の品質(例サイズ、濃度)を評価するために光を使用する分析装置の場合、EV サンプル中の直径約 150 nm 未満の粒子を正確にカウントすることができず、EV 濃度を大幅に過小評価してしまうことがあります。光を使用しない電気検知帯法のナノ粒子径・濃度測定装置は、透明な試料でも好感度に粒子を検知することが可能です。

無細胞ヒト血清由来の細胞外小胞(EV)を希釈し、nCS1の検知濃度と希釈倍率の妥当性を確認しました。

登録して全ての事例を読む

 

医薬品分析・製剤の最適化

 

結晶成長、インラインモニタリングによる粒子径、形状評価で医薬品の研究開発や品質・生産性の向上に貢献

注射器内のワクチンの粒子径を外部から非接触で測定。保管環境の影響を調査

ワクチンなどの製剤では、製造および保管中の治療用タンパク質と有効成分の凝集が懸念され、モニタリングを要するケースがあります。In-situ、非接触で容器内の粒子径を測定することで、コンタミのリスクをなくし、精度の高いモニタリングが可能です。

非接触・遠隔な粒子径分布測定装置を使い、ワクチンの保管環境による影響を調査しました。

7度および室温で8カ月保管した注射器内のインフルエンザワクチンの粒子径分布を測定しました。7度保管のサンプルは30nm-10μmまで4つのピークが得られました。一方、室温保管のサンプルはブロードなピークとなり保管条件による差が明らかになりました。

使用装置: VASCO KIN

  • 非接触・In situで簡単に粒子径分布を評価
VASCO KIN

医薬品の結晶化プロセスをインライン測定。非規則性結晶粒子の成長を目視・数値化。

結晶粒子の大きさ、形状は後工程の効率、製品のハンドリングや性能に影響を与えるために、適切に管理される必要があります。従来の方式ではオフラインでの測定、或いはレーザーによるインラインコード長測定のために相対評価しかないという問題がありました。プローブ式画像解析粒子径・形状分析装置を用いることで、プロセス中にリアルタイムで画像を取得し、結晶粒子の成長、その大きさ、形状、度合いを数値化することができます。

製造中の結晶化プロセスを測定しました。まず、動的画像から、結晶の種類は必ずしも球形や規則的形状だけではないことがわかりました。
非規則結晶粒子は、
画像解析によりフェレーmax径とフェレーmin径が検出され、スケルトン解析により結晶成長が数値化されます。全体の粒子の大きさや形状分布も同時に累積分布、円形度分布などで示されます。
本評価は、結晶化の最適条件の把握や、医薬品製造過程の品質管理に役立ちます。

使用装置: SOPAT

  • 結晶成長過程のリアルな画像を取得。優れた解析アルゴリズムで粒子を検出

 

SOPAT

 

錠剤処方の添加剤選択を科学的、定量的に

錠剤賦形剤の粒子径分布及び分散圧力下の影響測定

錠剤賦形剤の粉末特性は、錠剤の調整プロセスと品質に重要な影響を及ぼします。最も一般的な錠剤賦形剤の1つであるラクトースの粒子径分布を、レーザー回折式粒子径測定装置の全自動乾式分散システムを使用して測定しました。さらに粒子径分布に対するさまざまな分散圧力の影響、及び乾式分散法の精度を確認しました。

ラクトース粉末のオリジナルを壊すことなく、大きな凝集体の分散を確実にする分散圧力を決定することができました。さらに、0.1MPaの分散圧力下で粒子径分布測定を行ったところ、再現性も良くUSPの基準を超える結果が得られました。

使用装置: Bettersizer 2600

  • 高い解像度と精度、使いやすさを兼ね備えたレーザー回折式粒子径測定装置
bettersizer-2600_1.jpg

 

湿度、温度、時間等による医薬品の構造変化、貯蔵条件の把握

医薬品有効成分(API)粉体の水分吸脱着特性を評価

水分の影響を理解することは、医薬品の機能解析する上で欠かせません。多検体 水分吸脱着測定装置を用いることで医薬品の水分吸脱着特性を簡単に評価できます。医薬品有効成分(API)粉体の水分吸着を測定しました。

このサンプルは湿度80%で水分吸着が急激に起こり、水和したと考えられます。一方、脱離は段階的に起こりました。貯蔵時は湿度80%以下にしておくことが化学的に安定した保存条件であることがわかりました。

使用装置: SPS / Vsorp 

  • 詳細な湿度影響調査。多検体測定で評価時間の大幅削減
proUmid
APIの水分吸脱着特性

COVIDワクチンに含まれる粒子のサイズ測定

メッセンジャーRNAを搭載した脂質ナノ粒子(LNPs)をベースとしたCOVIDワクチンは、日本でも多く接種が進んでいます。これらの粒子のサイズ分布はどのようになっているのでしょうか?ナノ粒子径・濃度測定装置を使い、主流となっている2回投与ワクチンの残留サンプル(レシピエントへの送達のための推奨消費時間の24時間以上を経過したもの)の粒子径を分析しました。

 

製剤プロセスにおけるナノ粒子の影響

アレルギー反応を引き起こす可能性のあるPEG中のナノ粒子の定量化

COVID-19ワクチンを受けた人の重度なアレルギー反応が、ワクチン中のmRNA分子を安定化させる脂質ナノ粒子バブルであるPEG(ポリエチレングリコール)中に存在するナノ粒子によるアナフィラキシー反応の可能性が指摘されています。

ナノ粒子径・濃度測定装置を使い、1%のPEG-200/PBS溶液と1% Tween 20/PBS溶液で含まれるナノ粒子の量を比較しました。

登録して詳細を読む

 

ドラッグデリバリーシステム(DDS)の最適化

 

DDSで使われるピッカリングエマルションの安定性評価

ピッカリングエマルションの安定性評価

ピッカリングエマルションは固体粒子が界面に強固に吸着されることで形成される安定性の高いエマルションですがDrug Deliveryを検討する上でも興味深いものとなっています。しかしピッカリングエマルションは安定性が高いため、安定性の評価が難しいものとして知られています。

光散乱の原理を使った安定性評価解析を2種の油層、3種類のピッカリング粒子にて行いました。結果、わずか2日間でその合一の度合いを評価することができました。また不安定化の指数計算を行い、簡単にランキングを行うことができました。

使用装置: Turbiscan

  • 不安定化の評価を短時間で定量的に

 

Turbiscans400

 

DDS用のナノ粒子の濃度・粒子径を正確に測定。薬物の生物学的利用能、および製剤の免疫原性と安定性情報を提供

DDS用のナノメディシンと合成粒子の粒子径分布測定

DDS用の粒子の濃度と粒子径分布は、薬物の生物学的利用能、および製剤の免疫原性と安定性に関する重要な情報を提供します。ナノ粒子を迅速かつ高分解
能に一つ一つ測定し、濃度と粒子径計測できる電気的検知帯法 ナノ粒子径・濃度測定装置を用い、腫瘍の部位に強力な抗がん剤を送達するために使用されるナノ粒子および、脂質ナノ粒子薬物製剤のナノ粒子を測定しました。

登録して詳細を読む

 

DDSにおけるたんぱく質濃度の最適化

タンパク質濃度が粘度に与える影響の検討

ドラッグデリバリーシステムを検討する上で製剤のレオロジー特性は非常に重要な項目ですが、タンパク質製剤においてはそのタンパク質溶液の濃度が重要なレオロジー特性のファクターとなります。画像解析式粘度計では、タンパク質溶液の高精度粘度特性評価が可能です。

例としてBSAタンパク質溶液の濃度違いの粘度の精密測定を行いました。

登録して詳細を読む

 

粒子分散の三洋wide3

粒子測定・分散評価に関するご相談・デモのお申込み

正確で有益な粒子・分散評価を行うには、数ある原理・装置の中から自分のサンプルと目的に合ったソリューションを選び取らなくてはなりません。

粒子・分散評価のスペシャリストがご相談を承ります。

「どのような評価法が適切かわからない」、「今まで評価できなかった物質を評価したい」等のお悩みがありましたら是非ご相談ください。最適な手法をご提案します。

 

粒子分散ALL3