三洋貿易はバイオ・医薬品分野の研究開発やプロセス管理に貢献する粒子・分散評価ソリューションを提供しています。バイオ試薬の解析、医薬品分析・製薬プロセスの最適化、ドラッグデリバリーシステムの最適化など、課題解決につながる評価事例をご紹介します。
タンパク質凝集体の早期発見
FDA規制では、有効性や安全性においてタンパク質治療薬の粒子の特性と量の評価を推奨しており、凝集体の早期発見が求められます。凝集が進む1μm以下の粒子を評価することで、凝集体を早期発見することができます。これにより多くの製剤をテストする時間を短縮でき、市場化への効率を上げることが可能です。
タンパク質の熱変性や凝集を非接触、非破壊で評価
タンパク質は生化学や製薬の分野で広く利用されていますが、熱に弱く変性することが知られています。また、特定の条件で構造状態の変化が起こるため、タンパク質溶液の特性を把握することが基礎研究において重要となります。ここではタンパク質の液中での構造変化を妨げることなく経時的に評価を行うことが出来る非接触、非破壊の評価が求められます。光散乱の原理を応用した分散の安定性評価法を用い、タンパク質溶液の状態変化を非破壊で捉えました。
グラフはBSAタンパク溶液にタンパク質の安定性に寄与するヒスチジンを添加し、60℃で経時的に状態変化を追ったものです。
バイオポリマーのゲル化点の正確な評価
バイオポリマーのゲル化は温度変化に対して起こり、また、塩濃度によって影響を受けることが知られています。しかし、回転式レオメータなどを使うゲル化評価では弱いゲルの構造が壊れてしまうため、正確なゲル化点評価が行えないという問題点がありました。マイクロレオロジーを使ったゲル化評価で、ゼロせん断の条件で温度変化や時間に対してレオロジー特性の変化を測定することができます。
ポリスチレン粒子の凝集、均一性、サイズ別含有を正確に判別
診断薬の感度や正確性、再現性向上には、原料であるポリスチレン粒子の粒子径分布を正確に知ることが重要です。
体外診断薬は、抗体などのタンパク質をポリスチレンラテックスなどの粒子の表面に吸着させ、被検体と反応させます。抗原抗体反応が起こるとポリスチレン粒子の凝集が起こるため、凝集の有無で陰性または陽性を判定することができます。原料であるポリスチレン粒子の凝集の有無、均一性(単分散度)の把握、サイズの異なる粒子含量の測定が求められます。
サイズの異なる2種類のポリスチレン粒子(粒子径差約35%)を混合し、粒子径分布を測定しました。
無細胞ヒト血清由来の細胞外小胞(EV)の大きさと濃度測定の妥当性を確認
エクソソームを含む細胞外小胞(EV)を利用した治療用製剤の開発が進んでいます。EVの正確な定量化は、その効力を評価する上で欠かせません。EV 製剤の品質(例サイズ、濃度)を評価するために光を使用する分析装置の場合、EV サンプル中の直径約 150 nm 未満の粒子を正確にカウントすることができず、EV 濃度を大幅に過小評価してしまうことがあります。光を使用しない電気検知帯法のナノ粒子径・濃度測定装置は、透明な試料でも好感度に粒子を検知することが可能です。
無細胞ヒト血清由来の細胞外小胞(EV)を希釈し、nCS1の検知濃度と希釈倍率の妥当性を確認しました。
注射器内のワクチンの粒子径を外部から非接触で測定。保管環境の影響を調査
ワクチンなどの製剤では、製造および保管中の治療用タンパク質と有効成分の凝集が懸念され、モニタリングを要するケースがあります。In-situ、非接触で容器内の粒子径を測定することで、コンタミのリスクをなくし、精度の高いモニタリングが可能です。
医薬品の結晶化プロセスをインライン測定。非規則性結晶粒子の成長を目視・数値化。
結晶粒子の大きさ、形状は後工程の効率、製品のハンドリングや性能に影響を与えるために、適切に管理される必要があります。従来の方式ではオフラインでの測定、或いはレーザーによるインラインコード長測定のために相対評価しかないという問題がありました。プローブ式画像解析粒子径・形状分析装置を用いることで、プロセス中にリアルタイムで画像を取得し、結晶粒子の成長、その大きさ、形状、度合いを数値化することができます。
錠剤賦形剤の粒子径分布及び分散圧力下の影響測定
錠剤賦形剤の粉末特性は、錠剤の調整プロセスと品質に重要な影響を及ぼします。最も一般的な錠剤賦形剤の1つであるラクトースの粒子径分布を、レーザー回折式粒子径測定装置の全自動乾式分散システムを使用して測定しました。さらに粒子径分布に対するさまざまな分散圧力の影響、及び乾式分散法の精度を確認しました。
COVIDワクチンに含まれる粒子のサイズ測定
メッセンジャーRNAを搭載した脂質ナノ粒子(LNPs)をベースとしたCOVIDワクチンは、日本でも多く接種が進んでいます。これらの粒子のサイズ分布はどのようになっているのでしょうか?ナノ粒子径・濃度測定装置を使い、主流となっている2回投与ワクチンの残留サンプル(レシピエントへの送達のための推奨消費時間の24時間以上を経過したもの)の粒子径を分析しました。
アレルギー反応を引き起こす可能性のあるPEG中のナノ粒子の定量化
COVID-19ワクチンを受けた人の重度なアレルギー反応が、ワクチン中のmRNA分子を安定化させる脂質ナノ粒子バブルであるPEG(ポリエチレングリコール)中に存在するナノ粒子によるアナフィラキシー反応の可能性が指摘されています。
ナノ粒子径・濃度測定装置を使い、1%のPEG-200/PBS溶液と1% Tween 20/PBS溶液で含まれるナノ粒子の量を比較しました。
DDS用のナノメディシンと合成粒子の粒子径分布測定
DDS用の粒子の濃度と粒子径分布は、薬物の生物学的利用能、および製剤の免疫原性と安定性に関する重要な情報を提供します。ナノ粒子を迅速かつ高分解
能に一つ一つ測定し、濃度と粒子径計測できる電気的検知帯法 ナノ粒子径・濃度測定装置を用い、腫瘍の部位に強力な抗がん剤を送達するために使用されるナノ粒子および、脂質ナノ粒子薬物製剤のナノ粒子を測定しました。
タンパク質濃度が粘度に与える影響の検討
ドラッグデリバリーシステムを検討する上で製剤のレオロジー特性は非常に重要な項目ですが、タンパク質製剤においてはそのタンパク質溶液の濃度が重要なレオロジー特性のファクターとなります。画像解析式粘度計では、タンパク質溶液の高精度粘度特性評価が可能です。
例としてBSAタンパク質溶液の濃度違いの粘度の精密測定を行いました。